早いもので、アルコン社のLenSxを導入して丸2年になる。当時、全国で18台目という早さだった。値段が値段だけに…まさに清水の舞台から飛び降りる覚悟だった。白内障手術にプレミアムな価値(より正確でより安全という付加価値)を乗せて、多様化する患者様の要望に応えていきたい…漠然とした思いだけが先行した。あとは、単純に術者としてどんなものか?と興味があった。

 

ただ、私の予想をはるかに上回り…より質の高い手術を受けたいと願う患者様が多いことに驚いている。当院では、毎週金曜日に術中診断装置であるオラシステムを使用し、ベリオンと同期して質の高いレーザー白内障手術を提供している。ありがたいことに盛況だ。

 

今までに、約300眼のレーザー白内障手術を経験するに至ったが…幸いに一度も機械トラブルは無く満足のいくレーザー施術を行えている。レーザーで困った事は、ほぼ皆無。

この2年間で…問題とされていたステープ角膜症例やフラット角膜症例(LASIK後眼)に対する対策(CLの多様化)が施され、現場としてはストレスが更に軽減され幅広い患者様に安全で正確なレーザーが施行可能となった形だ。

まさに現存する最高峰に安全で正確な技術であると言い切れる。欠点は、狭瞼裂症例に既存のPIが装着出来るか?どうか…。開発中だとは聞いているが…PIがいまだ単一サイズのみなのだ。唯一目に見える残された技術的な欠点。一日も早く現場により小さいサイズのPIが使えるようになって欲しいと願う術者は多いと思う。

そして…保険診療外の範疇だということ。先進医療や自費診療での取り扱いとなる。

良い技術や素晴らしい技術は、決して一部の人達だけが教授してよいものでは無いはず…。

現に、難症例や手術不能とか言われる症例ほどレーザー手術の恩恵は受けるべきものだと多くの術者(LenSxユーザー)は感じているはず。難症例とは、手術時期が明らかに遅れた成熟白内障症例やチン小帯脆弱例やチン小帯断裂例。若年性白内障など。そしてどうしても手術が怖くて怖くてたまらない人。その安全性や正確性は…名高い名医ですら足元にも及びえないレベル。いや…私の本音は全例でレーザー手術を使用できたら、白内障による重症な手術トラブルは世の中から無くなるのではないか?とすら思える。

 

白内障手術は、成功して当たり前という風潮になり久しい。ただ、どうしても合併症が生じるリスクは残る。同じ生身の人間がすることだから…。しょうがない?本当に質の高い手術、安全な手術をレーザー手術が可能にする。その事が皆様に当たり前に認知され、皆様により気軽に提供出来る世の中になることを…一術者として切に願う。そんなことを思い、日々、白内障に対しレーザー手術(金曜日)とマニュアル手術(火曜日)を下之城町で行っている。これからも…。

下之城眼科クリニック